サンレモ|花と音楽に彩られたイタリアン・リヴィエラの宝石

サンレモ|花と音楽に彩られたイタリアン・リヴィエラの宝石

イタリア北西部、リグーリア州の海辺に位置するサンレモは、「花の街」として知られるエレガントなリゾート地。温暖な地中海性気候、歴史あるカジノ、世界的な音楽祭など、多彩な魅力が詰まったこの街は、イタリアン・リヴィエラを旅するなら外せないスポットです。フランス国境やモナコにも近く、地中海沿岸の文化が交差するこの街では、美しい海岸線と歴史、そして洗練された雰囲気があなたを待っています。

イタリア音楽の殿堂「サンレモ音楽祭」

毎年2月にイタリア北西部のリグーリア海沿いの街・サンレモで開催される「サンレモ音楽祭(Festival di Sanremo)」は、1951年に始まったイタリアで最も歴史と影響力のある音楽イベントです。開催地であるアリストン劇場(Teatro Ariston)は、国内外から集まる注目アーティストたちがしのぎを削る舞台となります。

この音楽祭は、ポップスやカント・イタリアーノ(イタリア歌謡)を中心とした新曲コンテスト形式で行われ、これまでにアンドレア・ボチェッリローラ・パウジーニなど、数多くの国民的スターを輩出してきました。

欧州中が注目する音楽の祭典

特筆すべきは、この音楽祭がユーロビジョン・ソング・コンテストの創設モデルとなったこと。1950年代にその形式がヨーロッパ全体に影響を与え、現在ではサンレモの優勝者がそのままイタリア代表としてユーロビジョンに出場する権利を持つことが通例となっています。

2025年の第75回大会では、若手アーティストOllyが「Balorda nostalgia」で優勝し注目を集めましたが、出場を辞退。代わりに2位のLucio Corsiがイタリア代表としてユーロビジョンに参加することになりました。

サンレモの街全体が音楽に染まる5日間

音楽祭の期間中(例年5日間)、サンレモの街は音楽と祝祭ムードに包まれた特別な雰囲気になります。各地から訪れるファンや観光客でにぎわい、イベントはRAI(イタリア国営放送)によってゴールデンタイムで生中継。視聴率は例年60%を超えるなど、国民的行事として定着しています。

海辺の美しい町・サンレモを訪れるなら、この音楽祭の時期は特に思い出深い旅になること間違いなしです。

アール・ヌーヴォー香る「サンレモのカジノ」

1905年1月14日に開業した「カジノ・ディ・サンレモ(Casino di Sanremo)」は、イタリア・リグーリア海岸を代表するランドマークのひとつです。フランス人建築家ウジェーヌ・フェレ(Eugène Ferret)によって設計され、建物全体にアール・ヌーヴォー様式の華やかな意匠が施されています。

白亜のファサードに優雅な曲線美が映える外観と、天井画やステンドグラスが彩る繊細な内装は、まさに20世紀初頭のベル・エポック(良き時代)の精神を今に伝えるもの。夜にはライトアップされ、周囲のパームツリーとともに、幻想的な雰囲気を醸し出します。

娯楽と芸術が交差する文化の舞台

カジノでは、ルーレット、ブラックジャック、ポーカー、バカラといった伝統的なカジノゲームを楽しめるのはもちろんのこと、演劇やクラシック音楽、ジャズ、現代アートの展示などのイベント会場としても活用されています。

過去にはサンレモ音楽祭が開催された歴史もあり、ここは単なるギャンブル施設ではなく、文化的なサロンとしての役割も担ってきました。

リヴィエラの絶景とともに

カジノはサンレモの海沿い中心部に位置し、地中海のパノラマが広がる絶好のロケーション。カジノのテラスからは、美しいリヴィエラの海岸線や夕日を望むことができ、ゲームをしない訪問者にとっても優雅な時間を過ごせる場所として人気を集めています。

ドレスコードと営業時間

現在のカジノは年中無休で営業しており、フォーマルすぎないスマートカジュアルの装いが推奨されています。一部の特別ルームではドレスコードが設けられているため、訪問前に確認するのがおすすめです。

街全体が花であふれる「フラワー・シティ」

「花の街(Città dei Fiori)」の異名で親しまれるサンレモは、イタリア・リヴィエラ海岸沿いの温暖な気候に恵まれ、一年を通して色とりどりの花が街を彩る美しいリゾート地です。特にバラやカーネーション、ガーベラといった切り花の品質の高さは、欧州各地への輸出拠点としても知られるほどです。

サンレモ花市場|プロのバイヤーも注目する本格市場

毎年春に開催される「サンレモ花市場(Mercato dei Fiori di Sanremo)」では、地元や近隣の花農家が手塩にかけて育てた花々がずらりと並びます。観光イベントというよりは、本格的な業者向けの卸売市場として機能しており、イタリア国内はもちろん、フランスやスイス、ドイツのバイヤーたちも注目する重要な取引の場となっています。

その品質は、色の鮮やかさ、茎のしなやかさ、香りの強さにおいて国際的な評価を受けており、サンレモブランドの花=高級品というイメージが定着しています。

街なかの風景も“花づくし”

サンレモの魅力は市場にとどまらず、市内の公園や街路樹、ロータリー、ホテルの中庭など、あらゆる場所で花々が生活と調和しています。特に「ビラ・オルモンド公園(Parco di Villa Ormond)」や「ビラ・ノビ・ドレアーノ」などの歴史的庭園では、色とりどりの花とともにヤシの木やオレンジの木が植えられ、南仏を思わせるようなエレガンスな景観を楽しめます。

フラワーパレード「コルソ・フィオラート」も名物に

サンレモでは2月の音楽祭と並ぶ春の風物詩として、花をふんだんに使った山車が練り歩く「コルソ・フィオラート(Corso Fiorito)」も開催されています(年により開催の有無は変動あり)。音楽や衣装、踊りが花と融合した、まさに“動く花の芸術”が街を彩ります。

海岸沿いのサイクリングロードで風を感じて

サンレモの魅力のひとつが、リグーリア海沿いに続く絶景のサイクリングロード「ピスタ・チクリビレア(Pista Ciclabile della Riviera dei Fiori)」。かつての鉄道廃線跡を活用して整備されたこのルートは、全長約24kmにわたり、サンレモ~サン・ロレンツォ・アル・マーレを結んでいます。

廃線跡が絶景ルートに生まれ変わった

このサイクリングロードは、旧ジェノヴァ=ヴェンティミーリア鉄道の一部を再利用したもので、線路のトンネルや橋梁などがそのまま自転車・歩行者専用道として再整備されており、歴史と風景が調和した特別な空間を生み出しています。ルートは比較的フラットで、初心者でも安心して楽しめる設計です。

海と空に抱かれる、爽快な時間

リグーリア海のきらめきと潮風を間近に感じながらペダルをこげば、心まで解放されるような気分に。ルートの途中には美しい小さな入り江や漁村、ビーチ、カフェ、ベーカリーなどが点在しており、のんびり立ち寄りながらの散策にも最適です。とくにアーモンドの花咲く春や、夕焼けが美しい晩夏のサイクリングは格別です。

観光客にもやさしい充実の設備

サンレモ市内および近郊の複数箇所にレンタサイクルショップや電動アシストバイクの貸し出し拠点があり、旅行者でも手ぶらで気軽に楽しめます。ヘルメットやチャイルドシートのレンタルも可能で、家族連れでも安心

また、ルート沿いには案内板やマップ、休憩用ベンチ、公衆トイレなども整備されており、半日から1日かけてのんびりと走るのにぴったりです。

日本との絆を結ぶ「熱海市」との姉妹都市交流

イタリア・サンレモ市と日本・静岡県の熱海市は、1976年に姉妹都市提携を結んで以来、半世紀近くにわたる友好関係を築いてきました。温暖な気候、海に面した地形、観光を軸に発展してきたリゾート都市という共通点を持つ両市は、文化、教育、都市美化など多方面での交流を続けています。

サンレモの名を冠した「サンレモ公園」

熱海市内の錦ヶ浦地区に整備された「サンレモ公園」は、姉妹都市の絆を象徴する存在です。園内にはイタリア風の彫刻や、地中海風の植栽が施されており、サンレモの雰囲気を感じられる散策スポットとして市民や観光客に親しまれています。

また、園内にはサンレモ市から贈られた記念プレートやモニュメントもあり、両市の友好の歴史が静かに語られています。

サンレモでも見られる“熱海”の足跡

サンレモ市内にも、姉妹都市関係を記念する植樹や掲示物などが見られ、日本文化への関心の高まりを背景に、和の要素を取り入れたイベントが行われることもあります。過去には茶道や和楽器の紹介、書道のデモンストレーションなど、日本文化を紹介する催しも開催され、現地住民との交流を深めてきました。

観光だけにとどまらない「心のつながり」

両市の交流は、観光プロモーションや名産品の紹介といった実利的な連携にとどまらず、“人と人とのつながり”を大切にした文化的・情緒的な交流へと発展しています。特に青少年の相互訪問や、災害時の支援メッセージのやりとりなどは、距離を超えた友情を象徴する取り組みです。

アクセス情報とおすすめの訪問時期

イタリア・リグーリア海岸のリゾート都市サンレモは、南フランスとの国境にも近く、ヨーロッパの旅人にとってアクセスの良さが大きな魅力です。

アクセス|ニースやモナコからも気軽に日帰り

  • フランス・ニースから:国境を越えるローカル列車(TER)を利用すれば、約1時間40分でサンレモ駅に到着。美しい海岸線を望む列車旅は、移動自体が観光の一部に。

  • モナコから:ニースとサンレモのちょうど中間にあるため、電車で約1時間前後、車なら1時間弱でアクセス可能。日帰り旅行にも最適です。

  • イタリア国内から:ジェノヴァ方面からはインターシティで約2時間、ミラノやトリノからは特急や車で約3~4時間。イタリア北部からの週末トリップにも人気です。

サンレモ駅は市街地や海岸エリアにも徒歩圏内で、観光スポットを巡るのにも便利。バスやタクシーも整備されており、滞在中の移動もスムーズです。

ベストシーズン|春の花と夏の海を楽しんで

  • 春(3月~5月):サンレモが“花の街”として最も輝く季節。カーネーションやバラなどが咲き誇り、街全体が色と香りに包まれる時期です。散策やカフェめぐりにぴったり。

  • 初夏~夏(6月~8月):地中海性気候のもと、爽やかな海風が吹く避暑地としての魅力が高まるシーズン。ビーチやマリンアクティビティも盛況で、リゾート気分を満喫できます。

  • 秋(9月~10月):観光客が少し落ち着き、気候も穏やかで穴場の季節。のんびりとした雰囲気の中でサイクリングやワイン、オリーブの味覚も楽しめます。

イベントに合わせた訪問もおすすめ

  • 2月:サンレモ音楽祭(Festival di Sanremo)
     イタリア中が注目する音楽イベントで、街は祝祭ムードに包まれます。

  • 春:コルソ・フィオラート(花のパレード)
     色とりどりの花を使った山車が街を練り歩く、まさに“動く花の芸術”。

終わりに

サンレモは、音楽と花、そして地中海の穏やかな風景が調和した特別な場所です。歴史と現代文化が融合したこの街は、イタリアを深く知るうえで欠かせない一面を見せてくれるでしょう。リグーリア海沿いの美しい旅路の中に、ぜひサンレモを加えてみてください。

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